道に迷う
Sponsored Link
「ナビのない車なんか、あり得ない」
はじめての田舎道を右へ左へとまがっているうちに、どちらに向かっているのかさえわからなくなった。どちらに向かえば大通りに出ることができるのだろう。どこかで停まってスマホを確認する必要があった。
「ごめん、道に迷ったようだ」
僕は彼女にいった。彼女はそれを気にするでもなく、空を見上げた。青い空には、白い雲が力強くはり出していた。
「入道雲!」
彼女はそういい、眩しそうに目を細めた。
ため息混じりに、僕はそういった。
依然、大通りにでそうな気配はない。
「スマホで確認してみてくれない?」
「なぜ?」
彼女は少し驚いた顔をして僕を見た。
「道にばかり迷っていたら、先に進めないだろ」
僕はそう答えた。
「でも、迷わなければ見れない景色もあるよ」
彼女はそういって前方を指差した。そこには小高い丘が見えた。何の花だろう?無数の黄色い花が群生してきれいだ。
Sponsored Link