待ち合わせ

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夕闇迫るカフェに私はいた。


大きな窓の外には、街路樹が風に揺れる。
待ち合わせの時間を
すでに1時間も過ぎていた。


あなたはいつも私を待たせるよね。


スマホを何度も見るけど、
既読さえつかない。
当然のように電話はない。


私は席を立った。
カフェを後にした。


冷たい風が私の心を吹き抜けた気がした。
心の中で、何かが弾けた気がした。


求める愛に意味はあるの?
待っていれば、幸せになれるの?
いつまでこんな状態が続いていくの?
私はいつも何を求めていたのだろう。
私はいつも何を待っていたのだろう。


しばらくすればクリスマスがやってくる。
今年もまた、イブはひとりだろうか。
「ごめんね」の彼の言葉に
ただ一言「いいよ」と笑顔で答えるのだろうか。
いいはずなんかないのに
寂しくないはずなんかないのに。


新しい道を歩もう。
本当の幸せをつかもう。
待つばかりの自分から脱却しよう。
そう決意したとき
スマホが鳴り始めた。


この電話を受けるかどうかで
私の人生は
大きく変わるに違いなかった。



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