ため息
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ふたつのことに、私は少しだけ驚いていた。
私は、バルコニーで洗濯物を干していた。
洗いたての夫のシャツをハンガーにかける。
お洗濯をしていることが
こんなにも幸せだったということ。
あれほどまでに家事を嫌っていた私なのに。
ふたつめの驚きは
幸せすぎて出るため息もあるんだということ。
建売だけど、素敵な二人だけの家。
お腹でスクスクと育つ私たちの子供
女の子であることに、夫はとても喜んだ。
きっと今、私は世界で最高の幸せ者に違いない。
そんな確信が持てるような気がした。
「編集長、大丈夫ですか?」
オフィスの雑踏の中に引き戻されていた。
地位、高収入、タワーマンション、外車、ブランド物。
望んだものはすべて手に入れた。
仕事に生きる私だって、十分に幸せなはずだ。
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