あなたの事が

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あなたの事が好きでした。
私は心の中でつぶやいた。
あなたを前にしたって、
そんなことを口にはできないから。


でももう
あなたを前にすることさえできない。
ふたりは、明日からは別々の道を行く。
だから、もう一度だけ言わせてほしい。


なんの接点もなかったけど
あなたを見ているだけで
とっても幸せだったんだよ。


ありがとう


あなたの事が好きでした。
最後だからこそ、あなたを見送ろう。
あなたが小さくなって見えなくなるまで
あなたの姿を記憶に焼き付けておこう。


友達とふざけあうあなた。
思わず笑みがこぼれる。
ついでに涙が頬を伝う。


あなたは友達に手を振った。
そして、急に反対方向へ駆け出した。


でもどうして?
忘れものでもしたのかな。
私は急いで頬の涙をぬぐう。


あなたは一気に私の前を・・・
駆け抜けなかった。


「今日は最後だから、一緒に帰らないか」
ちょっとだけ切れた息で、あなたは言った。
「え?」
「俺、ずっとお前のことが・・・」
「え?」


「最後だから言わなきゃって。だから、一緒に帰ってくれる?」
あなたの顔はいつになく緊張していた。
私の胸は、いつものようにドキドキとしていた。
「うん」


もう残り時間は、わずかかもしれない。
だからこそ、
声に出して言うべきなのかもしれない。


あなたの事が好きです・・・と。



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