定説の呪縛

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「どこへ行くの?」と彼女が言った。
「まだ内緒だよ」とボクは答えた。


アクセルを強く踏み込むと
視野が一気に狭くなった。


目的地は決めていなかった。
このまま二人で永遠に
旅を続けたいとさえ思っていた。


そうでもしなければ
彼女が消えてしまうような気がしていたからだ。
「形あるものは、いずれ崩壊する」


そんなありふれた定説に対して
抗う方法を思いつけないでいた。


彼女はゆっくりとボクの
肩に手を置き
「大丈夫だよ」
とだけ笑顔で言った。


たった一言の中に
すべての答があるように思えた。


次のランプで降りるために
ボクは徐々に減速を始めた。



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