定説の呪縛 Sponsored Link 「どこへ行くの?」と彼女が言った。 「まだ内緒だよ」とボクは答えた。 アクセルを強く踏み込むと 視野が一気に狭くなった。 目的地は決めていなかった。 このまま二人で永遠に 旅を続けたいとさえ思っていた。 そうでもしなければ 彼女が消えてしまうような気がしていたからだ。 「形あるものは、いずれ崩壊する」 そんなありふれた定説に対して 抗う方法を思いつけないでいた。 彼女はゆっくりとボクの 肩に手を置き 「大丈夫だよ」 とだけ笑顔で言った。 たった一言の中に すべての答があるように思えた。 次のランプで降りるために ボクは徐々に減速を始めた。 Sponsored Link ■お勧め作品 水着の跡 十年後の今日 乙女との賭け