オレンジ色のサイドライディング

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 出来上がったオーダーボードに満足していた。ボクは朝がやってくるのが待ちきれず、結局午前3時過ぎには目が覚めてしまった。
 窓際に座り、パンとスープで軽い朝食。空が白み始める。窓から波を確認する。波の状態はかなり良さそうだった。
 赤の真新しいボードに黒のウエットスーツ。赤い板を持ったカラスが、急な小道を走って下る。 ポイントに地元以外のサーファーは少ない。


 ビーチに着いたボクは海を臨んだ。
「ラッキー」
 波のサイズは、頭を超えていた。早速入水したボクは、パドルで幾つかの波をくぐる。波待ちポイントに先客がいた。アキラだった。


「早いな、アキラ」とボクがいった。
 深いうねりが二人を揺らす。うねりは直後にブレイクし、波に変わる。


「遅いよヒロ。日が暮れちゃうよ!」
 とアキラがいった。
「暮れるって、まだ登ってもいないし」
 とボクが答えた。二人で笑った。


 次のうねりが二人を突き上げた。ピークから、左右にブレイクしようとしていた。三角波だった。二人は同時にパドルでテイクオフに入った。
 アキラはレギュラーブレイクへ、そしてボクはグーフィーブレイクへ。サイドライディングのその瞬間、波がオレンジ色に輝いた。生まれたばかりの太陽光が、ブレイク直前の波を貫いていた。



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