ランチタイム
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同僚はそういいながら、ようやくハンバーガーに噛り付いた。昼休みのオフィス街に面したこの公園は、ランチを食べるサラリーマンやOLでいつも混みあう。多くの人生の一シーンが、ひと時ここに集約していた。俺たちは噴水近くのベンチを陣取っていた。噴水は時折、勢いよく水を噴き上る。
すでにハンバーガーを胃に収めていた俺は、フライドポテトを食べながらいった。
「もともと先方のミスなんだぜ。なんで俺に責任がまわるんだよ!」
彼はそう答え、口に頬張ったハンバーガーを缶コーヒーで喉に流しこんだ。
「だからどうだってんだよ。そもそもお前は誰に対しても甘すぎるぜ。彼女もいってたぞ」
彼女とは、秘書課に勤務する俺の婚約者のことだ。
「あいつが何だって」
俺は彼女から、俺自身の甘さについて直接指摘されたことがない。
「甘すぎるじゃなくて、優しい・・・だったか」
「微妙に意味が違うだろう」
俺がいうと、彼の表情から今までの厳しさが抜けた。そこには、無邪気な少年の面影を垣間見ることができる。
「9月4日だよ」
俺は照れ隠しに、フライドポテトの一つを近くに投げた。すると、鳩がすぐに舞い降りて、それをついばんだ。
「お前もついに結婚かあ。世の中、平和になるな」
「どういう意味?」
「だからそういう意味」
「式には来てくれよ。スピーチも頼みたいし」
先を歩いていた俺は、彼に振り返っていった。
「まかせとけ。お前の過去をみんなに公表してやるよ」
彼は、そういって笑顔を見せた。
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